試写会『人類資金』

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原作・脚本:福井晴敏『人類資金』(講談社文庫)
監督:阪本順治
キャスト:真舟雄一(佐藤浩市) M資金での融資を語り詐欺行為を繰り返す詐欺師
”M”(香取慎吾)
石優樹(森山未來)”M”の腹心
2013年10月3日@日本記者クラブ

旧日本軍が占領地で奪取したダイヤ・プラチナ・金・銀など時価数十兆円にも上る資産。第二次世界大戦敗戦直前に日本に持ち込まれ、日銀の地下金庫に保管されていたが、敗戦直後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に接収され、日本政府の一部を通じて、戦後復興や反共計画に極秘に運用されてきたとされる。それがM資金。

資金を管理していたウィリアム・フレデリック・マーカットGHQ経済科学局長のイニシアルを取って、M資金と呼ばれることが多い。その存在が公的に確認されたことは一度もないものの、戦後、実際に、GHQによって東京湾の越中島海底で金塊103個(約20億円)が発見されたこともあって、信憑性を帯びることとなった。

M資金を使った融資話が企業経営者に持ち込まれ、それが詐欺事件に発展して日本社会を騒がせることが昭和の時代には結構起こった。M資金の存在がそれなりの真実性を持っていたからだ。

戦後68年。M資金と聞いても若い世代で知る人はほとんどいないのではないか。そう言われれば、そんな話があってもおかしくないなと思うくらいで、今では現実離れしている。

そんなM資金の話が映画化された。リーマンショックは確かに金融資本主義の終焉の一端を見せつけたが、だからといって、M資金と結び付けるのはかなり飛躍があるのではないか。

戦後復興ではなく、人類の将来のための「援助資金」として使用すべきだとのメッセージを発信しているのも分からなくないものの、メッセージがあまりにも抽象的すぎた。

そうそうたるキャストをそろえ、国連本部など豪華な舞台を用意しただけに、製作意図は善しとすれども、140分の長さとその切り口の鈍重さに途中思わず退屈したことを正直に告白しなければならない。

 

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