「獺祭」のふるさと
今回の取材旅行の目的地はここだった。大吟醸酒「獺祭」(だっさい)で人気沸騰中の旭酒造(山口県岩国市周東町獺越)。前泊地の福山市から山陽道を西に走ること約300km。岩国ICを下りてから国道2号を西にまた30分ほど走った山間の町だ。
桜井博志社長にインタビューし、その後酒蔵を見学した。日本酒業界における獺祭のサクセスストーリーは有名。メディアには獺祭情報があふれており、取材はそれを確認するようなものだったが、確認するにしても、やはり現場に足を運ぶことに意味がある。
よくもまあ、こんなに草深いところから、東京市場に進出し、「大吟醸酒出荷量ニッポン1」という今日の地歩を築いたものだと思った。しかも、東京市場にあきたらず、今や世界に乗り出している。グローバル時代を象徴するような話だ。
「地元で食えなくなったから東京市場に打って出るしかなかった」と桜井社長は淡々と語るが、誰でもそれができるわけではあるまい。しかし、それを成し遂げた獺祭はやはり賞賛に値する。いやはや、世の中捨てたものではない。面白い。