日本経済の先行きは「短期楽観・長期悲観」

会見する早川英男氏

会見する早川英男氏

 

テーマ:2014年の経済展望―アベノミクス、異次元金融緩和と日本経済―
会見者:早川英男富士通総研・経済研究所エグゼクティブ・フェロー
2014年1月27日@日本記者クラブ
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■アベノミクスによる金融緩和は、そのタイミングの良さもあって、大幅な円安・株高をもたらした。東京五輪招致成功とも相まって、国民に希望を与えた点が最大の成果だ。

■景気は回復基調をたどっているが、これは金融緩和の効果以上に、一昨年のミニ景気後退からの自律反転と公共投資の増加に負うところが大きい。4月の消費税率引き上げ後も、景気は回復基調を続ける見込み。

■海外経済は、各地域がそれぞれの課題を抱えており、高成長は望み薄いが、先進国中心に成長率は幾分高まる見通し。一方、米国債のデフォルト、ユーロ解体、中国バブル崩壊といった破局的な事態に陥る確率は小さい。

■日本経済は、目先の見通しこそ明るいものの、より長い目で見ると、深刻な問題を抱えている。異次元金融緩和からの「出口」には多くの困難が予想されるが、その備えはできていない。まずは、米国でのtapering(証券購入額の縮小)の影響に要注目。

■金融緩和からの出口は先進国共通の課題だが、財政赤字については日本が際立って悪い。デフレ脱却や経済成長だけでは解決できないと認識すべきであり、赤字拡大の主因である社会保障改革への取り組みが喫緊の課題だ。

■金融緩和に支えられた財政出動ばかりが目立ち、成長戦略が立ち遅れ気味のアベノミクスの現状は危うい。財政依存を控える一方で、構造改革により潜在成長力を高める方向へと転換が必要だ。

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