第9回UNHCR難民映画祭

マイケル・リンデンバウアーUNHCR駐日代表

マイケル・リンデンバウアーUNHCR駐日代表

 

テーマ:第9回UNHCR難民映画祭開催
会見者:マイケル・リンデンバウアーUNHCR駐日代表
2014年9月9日@日本記者クラブ

 

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグテレス弁務官は来日する都度、日本記者クラブで会見している。難民救済・保護が最大の任務だが、あまりにも難民の数が増えすぎて、対応できないのが現実だ。

難民大量発生は1990年代にはまだ年に1度、あるいは数年に1度程度の問題だったが、最近では同時多発で、しかも難民発生に歯止めがかからない。とりわけ、紛争が泥沼化しているシリアの難民は深刻だ。

2010年11月18日の会見で、ゲテレス弁務官は「76万人」と言っていたが、2013年12月4日の会見では「200万人」と述べた。既にシリア紛争は3年半になる。この日会見したマイケル・リンデンバウアーUNHCR駐日代表によれば、「過去最大の300万人を超えた」。

国籍国の外にいるという条件を満たしているのが難民であり、当然のことながら、包囲された町に取り残された住民は難民と呼ばない。しかし、食料難や戦火を逃れて、国外に脱出したいと願う住民はそれ以上に多い。

UNHCRによると、シリア国内で避難を余儀なくされている住民は650万人に上る。家を追われたシリア人の半数以上は子どもだ。支援団体などによれば、周辺国へ避難する家族は増え続けており、精神的ショックや疲労、恐怖で疲弊し、所持金もほぼ底をついた状態でたどり着くという。

「シリア国外へ逃れる道のりはより険しくなってきている。国境付近の検問所で多くの避難民は賄賂を支払うよう強要されている。また、砂漠を越えヨルダン東部に逃れる難民は密航請負業者に安全と引き換えに法外な金額を請求される」(プレスリリース)ようだ。

 

上映作品「ボーダー~戦火のシリアを逃れて~」

上映作品「ボーダー~戦火のシリアを逃れて~」

 

第9回難民映画祭が10月に東京、札幌、西宮で開催される。最小限の荷物を抱え、人目に付かぬようにトルコ国境を目指す信仰深いシリア人姉妹の待ち構えている試練を描いた作品が上記の『ボーダー~戦火のシリアを逃れて~』(2013年イタリア映画、95分)だ。

「映画のドラマではあるものの、今現場で起こっている現実でもある。現地でいったい何が起こっているのかを知ってもらいたい」(リンデンバウアー代表)。『ボーダー』を含め、全8作品が上映される。

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