【試写会】戦後のレニングラードでPTSDを抱えた看護師イーヤと女性兵士マーシャが生きるための闘いを続ける『戦争と女の顔』

”わたしたち”の戦争は終わっていないー。

 

試写会:『戦争と女の顔』
監督・脚本:カンテミール・バラーゴフ
受賞歴:第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門国際批評家連盟賞・監督賞受賞
原案:『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ)、三浦みどり訳(岩波現代文庫)
2019年ロシア映画
2022年6月4日試写会@日本記者クラブ
7月15日から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマロードショーロードショー

 

■戦後の女性の運命を映画化

 

「読書メーター」によると、原案となった『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代文庫)はノーベル文学賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチのデビュー作で主著。「ソ連では第2次世界大戦で100万人を超える女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った」。

しかし戦後は世間から白い目で見られ、自らの戦争体験をひた隠しにしなければならなかったという。『戦争は女の顔をしていない』は500人以上の従軍女性から聞き取りを行い、戦争の真実を明らかにしたものだ。

バラーゴフ監督はこの作品に衝撃を受け、この証言集を原案に、戦後の女性の運命をテーマに本作品を完成させた。

舞台は1945年の終戦直後のレニングラード。独ソ戦により街は荒廃し、建物は取り壊され、市民は心身ともにボロボロになっていた。史上最悪の包囲戦が終わったものの、残された残骸の中で生と死の戦いは続いていた。

多くの傷病軍人が収容された病院で働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、PTSD(Post Traumatic Stress=心的外傷後ストレス障害)を抱えながら働き、パーシュカという子どもを育てているが、後遺症の発作でその子を失ってしまった。

そこへ本当の子どもの母であり、戦友でもあるマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還してくる。彼女もまた後遺症や戦傷を抱えながらも、2人の若き女性イーヤとマーシャは、廃墟の中で自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだす・・・。

 

 

バラーゴフ監督は作品の中で「戦争より悪は存在しない」と述べているのが印象的だ。プーチン大統領は2022年になってウクライナで「特別軍事作戦」を始めたからだ。

やはりこれも男の戦争なのか。泣くのは女なのか。パラーゴフ監督に訊ねてみたいものだ。

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