【低山登山】3時間ほどの里山ハイキングを楽しみ、道の駅「果樹公園あしがくぼ」で糖度20度の埼玉オリジナルイチゴに遭遇
■2時間ほどの里山ハイキング
西武秩父線芦ヶ久保(あしがくぼ)駅を起点に3時間ほどの「のどかな里山ハイキング」のお誘いが今年も大学時代の仲間からきた。待ち合わせ時刻は芦ヶ久保駅(埼玉県秩父郡横瀬町芦ヶ久保)11時23分。
2時間ほどのんびり散歩しながら日向山(ひなたやま、633m)に登り、下山する超楽勝コースの予定だった。午後3時くらいには駅に戻り、近くの道の駅「果樹公園あしがくぼ」で缶ビールで乾杯した。
ところが平らな道を歩くかと思いきや急坂ばかり。農村公園まで30分ほど歩いただけでも汗びっしょり。公園に着いたらへたり込んでしまった。
仲間の1人は100名山も踏破したことのある強者だが、4月20日が誕生日。77歳になったという。びっくりしていたら、私も今年7月で75歳になるのだから不思議でもない。私は1浪、彼は2浪だった。
この彼が最近悩んでいるのが膝痛。膝痛にもいろいろタイプがあるようだが、彼の場合は膝関節の外側が痛むらしい。登るときよりも下るときのほうが痛みが走るという。
膝関節の動きを司るもも前側の筋肉(大腿四頭筋)が疲労することで筋肉の柔軟性がなくなり、硬くなることで筋肉とつながっている膝のお皿(膝蓋骨)の周囲に痛みが起こるらしい。
■糖度20度のイチゴが登場
登り始めたのが12時、道の駅「果樹公園あしがくぼ」にたどり着いたには15時。せいぜい3時間ほどの山行だったが、直登コースを選んだこともあって個人的には過酷だった。
それだけに降りてきて道の駅で飲んだ缶ビールは最高だった。道の駅はドライブ観光の拠点にもなっていて、この日も大勢の人で賑わっていた。
そこで見つけたのが埼玉県オリジナルイチゴ品種「あまりん」。平成21年(2009)に種子親「やよいひめ」(群馬県育成品種)、花粉親「ふくはる香」(福島県育成品種)を交配し選抜を繰り返し、現地栽培試験を経て、平成28年(2016)に「あまりん」を品種登録申請した。
あまりんの市場デビューは2017年から。あまりんの特徴は濃厚な甘みと口当たりの良さ。平均的ないちごの糖度が13度程度なのに比べ、あまりんは18~20度(完熟メロンの糖度に相当する!)。
香りがぷーんとしてすぐ分かる。練乳をかける必要もないくらい甘く、ひとつぶ頬張れば濃厚な甘みが口の中に広がる。
あまりんは生産量が少なく果実も繊細なため、埼玉県周辺でしか出回っていない幻のイチゴ。埼玉県内のイチゴ栽培面積は約106ヘクタール。そのうち「あまりん」の栽培面積は約1.5ヘクタール。全体の1%だ。幻のイチゴと言われる所以である。
■開発競争が激化
一般社団法人日本野菜ソムリエ協会主催「第1回全国いちご選手権」(2023年2月2日)が行われ、完全クローズドの味覚評価を実施した結果、全国から35品種が受賞したが、「あまりん」(春日部市ヒロファーム)が最高金賞を受賞。さらに深谷市と秩父市のあまりんが銀賞と銅賞、姉妹品種の「かおりん」も入賞を果たした。
イチゴは産地間競争が激化しており、今や栃木県と福岡県が双璧をなしており、群雄割拠の時代を迎えている。下野新聞(2022年12月3日)によると、国内イチゴの作付面積は2021年産で4930ヘクタール。10年前と比べ800ヘクタール減少している一方、収穫量は過去10年間ほぼ16万トン台と横ばいが続いている。
下野新聞社が西日本新聞社と共同取材を実施。東京農業大国際食料情報学部の半杭真一(はんぐい・しんいち)准教授は「他の果物と同様、果物離れが起きているが、それでもイチゴは持ち直している。かつては高級果実として扱われたイチゴだが、皮をむかずに洗うだけで食べられる特性から、手軽に家庭で食べる果実へと変わってきた」としている。
半杭准教授は2000年頃から激化している産地間の品種開発競争について、「店頭に並ぶ商品のバリエーションが増え、消費者にとって新たな購入の理由になっている。消費者が興味を持って消費するコンテンツになり得る」と指摘する。
また「戦略的に育種をしている上位5~6県が頑張り、ブランド力も強化されている。専業化の流れで稼ぐべき人が稼いでいる」と分析。輸出も堅調に推移しているが、半杭準教授は「もっとできる」とし、「上位県でもトップクラスの生産者はもっと輸出を頑張るべきだ。イチゴは傷みやすいので、輸出専用の品種開発も求められる」と力説している。