【軽井沢】いつも新発見のある軽井沢は面白いが、それ以上に楽しいのはそこを拠点に自由に動き回ることで11年前に訪れた「松本」ぼんぼんは忘れられない
■今回も友人宅にお邪魔
秋の軽井沢にやってきた。もちろん自分の別荘があるわけではなく、友人の別荘である。彼が2020年に建てて週末住んでいる。
友人は名古屋が本拠で、通常はそこで仕事をしている。時間があると週末に軽井沢にやってくる。別に東京にも拠点を持っており、そこへも時々くる。3拠点居住である。
東京には娘家族が住んでいて、結構頻繁にヘルプ要請があるらしい。どこの親も子どもや孫とはそれなりの引力圏にあるらしい。
友人が軽井沢に来るのはもっぱら車。それでも名古屋から軽井沢に来て、東京にも立ち寄り、また名古屋に帰るのだ。よほど体が丈夫でないと倒れかねない。
それが今年ようやく彼の行動を束縛していた仕事から解放された。まだ1つ2つは残っているようだが、主要な仕事から解き放たれ、9月頃から本格的な軽井沢生活が始まった。
われわれ夫婦は2021年は6月と11月、22年も6月と10月、今年は8月と11月のいずれも2回ずつお邪魔した。3泊4日か4泊5日だ。
■まずはイスラエルの銘品を
ご主人が99本入るという自慢のワインセラーからイスラエル産ワインを持ってきた。それがゴラン・ハイツ・ワイナリーが手掛ける銘酒ヤルデンシリーズのうちの1本。
ゴラン・ハイツ・ワイナリーはイスラエル北部ゴラン高原の小さな街カツリンに1983年に誕生したワイナリー。最先端を行く栽培技術と伝統的な醸造技術を組み合わせることで高品質なワインを次々と生み出し、数々の賞を受賞するなど国際的に高い評価を受けている。
ガリラヤ(英GALILEE)はイスラエル北部の地方。レバノンと国境を接する。ナザレ、チベリアなどイエス・キリストの殿堂活動の中心地。イスラエルのゴラン高原は最高のテロワール(ブドウ畑を取り巻く自然環境要因)を誇っている。
ワイン通販のヴァン・ド・クレールによると、ヤルデン・シャルドネ(3520円税込)は「洋梨やレモン、青リンゴやトロピカルフルーツの魅惑的なアロマにミネラリーでフローラルなニューアンスが溶け合い、フレンチオークの香りが背景に香ります。風味豊かで心地よいフルボディの味わい。充足感のある余韻の長い後味がどこまでも広がります」(テイスティングノート)と書かれている。
今回も軽井沢にきたのはワイン倶楽部に参加するため。ワイン倶楽部は日曜日に開かれる。昨夜は奥出雲葡萄園が作っている「杜のワイン」(赤)を味わったばかり。そして今晩はイスラエルワイン。ワイン好きにはたまらないだろう。
■超高級ホテルも登場
軽井沢の食卓を満たす地元スーパーマーケットは「ツルヤ」だが、新鮮な地元野菜などを取り揃えた軽井沢町のファーマーズマーケットの農産物等直売施設「軽井沢発地市庭」(かるいざわほっちいちば、軽井沢町発地2564-1)も忘れてはなるまい。
「霧下キャベツ」で有名な朝採れ野菜を中心に生産者の思いが伝わる安心でおいしい農産物や加工品などが揃っている。そこで買い物をし完全自家製粉の手打ちそば「香りや」でお腹を満たしたのち、ちょっと立ち寄ったのがこの「ルグラン軽井沢ホテル&リゾート」(軽井沢町発地864-4)。
株式会社ベルーナのプレスリリースによると、同ホテルは7万坪の広大な敷地に2018年7月20日オープンした。ベルーナ(本社・埼玉県上尾市、安野清代表)のグループ会社グランベルホテル(本社・東京都中央区京橋、安野清社長)が運営している。
宿泊施設は「ホテル本棟」「ヴィラスイート」「山の上スイート」の3タイプがあり、部屋ごとに異なる景色が楽しめるという。客室数は58室。展望デッキからは浅間山が一望でき、軽井沢の大自然を感じられるホテルとなっているようだ。
軽井沢エリアでは珍しい天然温泉施設を備えているほか、チャペルが2つもあり、結婚披露宴会場も3つあるという。我々が車を乗り入れた際には1つのチャペルで挙式が行われていた。
今年8月、軽井沢からの帰路群馬県吾妻郡高山村でスコットランドのお城を日本に移築・復元したロックハート城を見学したが、このお城にも結婚式用のチャペルがあった。異色というか奇抜というか、最近はそういう非日常を楽しむムードが富裕層の中には高まっているらしい。
■浅間山も冠雪
軽井沢は「浅間山が3回冠雪したら平地にも雪が降る」とか。今年の浅間山の初冠雪は11月13日だったという。下の写真は18日に発地市庭から浅間山を写したものだが、3度目かどうかは分からない。
18日にも少し小雪が舞っていたように思ったが、19日朝は完全に積もっていた。友人に聞くと、軽井沢の雪は大体この頃に降るそうだが、根雪になることはまだないらしい。
今年は温暖な気候が続いているものの、それでも寒さは厳しい。友人の別荘が特に寒いのは建物がコンクリート打ちっぱなしだからだ。
コンクリート打ちっぱなしはコンクリートの質感を生かすことによるクールで都会的なイメージがあり、スタイリッシュな空間になることが魅力だ。
RC(鉄筋コンクリート造り)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造り)は木造と比べて、柱と柱の間の間隔を広く取れるため、開放感のある大空間を実現できる。友人家のメイン棟のリビングも50畳はあるのではあるまいか。とにかく広い。
一方、コンクリート打ちっぱなしは外気の影響を受けやすいとか結露やカビが発生しやすく、汚れが目立ちやすいなどのデメリットも少なくない。友人宅は床暖房を引いていて防寒対策を凝らしているが、今シーズンは石油ファンヒーターを導入した。
石油ファンヒーターは暖房の能力が高く、部屋全体を素早く暖められるのが最大のメリット。正直言って友人の別荘の最大の欠点は寒さ対策にあると思っていたが、石油ファンヒーターの導入で大幅に改善された。コストはかかるものの、暖房強化は嬉しい。
■長野道に姨捨SA
東御市から上信越道に乗り、更埴ジャンクションで分岐し、長野自動車道に入った。最初にあるのが姨捨SA(千曲市)。SAは「おばすて」と称しているが、「姥捨」(うばすて)と読む呼び名もある。
yahoo!知恵袋によると「漢字表記が違うだけで同じ意味」らしい。桜で有名な「吉野」を「芳野」と書いた文献もあるさんある。固有名詞の表記は1つだけが正しいと思っているのは最近のことで、昔はそうではなかったらしい。
また「日本、大和、大倭はみんな『やまと』」(yahoo!知恵袋)とも指摘している。「個人的なくせとか見栄で字を替えるのもいる」(同)らしい。「姨捨(おばすて)が本来のもので、「うばすて」と思った者が「姥捨て」の字を書いたのではないか」(同)という。どちらの漢字も難しい。
■棚田の景観「田毎の月」を誇る名所でも
千曲市にある冠着山(かむりきやま、1252m)の別名が姨捨山だという。古くから「田毎(たごと)の月」と呼ばれる月見の名所でもある。
更級(さらしな)に住む男が山に捨てた親代わりの叔母を、名月の輝きに恥じて翌朝には連れ戻しにいったという姨捨山伝説で知られる。
かつて食料難解消の「口減らし」を目的に、年老いて働けなくなった老人を山に遺棄していたという日本各地で語り継がれている姨捨山伝承。その1つがここだ。
深沢七郎の小説「楢山節考」などで広く知られることとなったが、この伝承を残す地の1つとされるのが冠着山だといわれる。JR東日本篠ノ井線に姨捨駅がある。
トラベルjpによると、地名のイメージとは裏腹に、伝説の里・姨捨は「『日本三大車窓』に数えられる眺望や、日本の棚田百選および重要文化的景観にも認定された約2000枚近い水田が織りなす美しい棚田の景観を誇る場所でもある」。
■忘れられない松本ぼんぼん
19日は前夜急きょ決まった「まつもと古市」行。長野県松本市の城下町で2015年4月から毎月開催されており、古道具、骨董、がらくた、海外アンティークなど幅広いジャンルの古いものが集まる蚤の市だ。
松本は2011年にも訪れている。当時はまだ兵庫・丹波の実家を人に貸しておらず、丹波と東京を行き来していた時代。名古屋からは中央道を通ったり、東名を走ったり気分によって変えていた。
その時は中央道を通って諏訪湖経由で東京に戻るつもりでいたが、急に国宝の松本城を見ていないことに気付き、岡谷ジャンクションから長野道に乗り入れた。
松本に着いたのは8月6日(土)。そうしたら毎年8月の第Ⅰ土曜日には「松本ぼんぼん」という夏祭りが「午後6時踊り開始」だという。予想もしていなかったが、せっかくなので最初だけでも見物して帰ることにした。何とも単純な懐かしい匂いのするテーマソングが延々と繰り替えされる。
一度聞いたら忘れられない。長野県の一大商業都市・松本の盆踊りが延々と流れ続けた。あれから12年。また松本にやってきた。
■9頭身モデル像を購入
この日は空が快晴で、ポカポカ陽気に恵まれた秋の好日だった。まつもと古市の会場は四柱神社やなわて通り商店街に隣接する「大手門枡形跡広場」。
北欧ヴィンテージ食器や雑貨などさまざまなジャンルの「古いもの」を扱う店19店が長野県を中心に愛知県、群馬県、岐阜県、山梨県、神奈川県から集まる。
通常、古いものを販売するには「古物商」という許可が必要だが、不要になった自分のものや実家の片付けで出てきたものなど、古物商を必要としないケースもある。一般の人も出店可能な気軽な雰囲気だという。
結局、古市で買ったのは9頭身モデル像。こんなものを買ってどうするのかと思われるが、こんなものが好きだとしか言えない。不思議なものを集めている人もいるものだ。
■今回もワイン倶楽部へ
軽井沢プリンスホテルのソムリエとシェフが奏でる11月のディナーとワインのマリアージュ(結婚=おいしい方程式)はフランスのブルゴーニュのワインとそれに合った料理だった。
いろんな料理を口にしたが、その時に供されたワインがその料理にどれだけ相応しいかは実はよく分からない。「おいしい」としか思えないのだ。
もっと微妙な味わいを知りたいが、自分の舌では無理かもしれない。そんなことを思っている。