『天使たちの探偵』

 原尞著『天使たちの探偵』(早川書房)を読み返した。先週、田舎に帰ったとき、書斎の書棚の中から手に取って読み始め、東京に戻ってからも読み続けた。未成年者が絡む6つの事件を描いた短編集。1990年4月に上梓された。翼をなくした天使たちに捧げられている。私立探偵・沢崎シリーズ。

・「少年の見た男」
・「子供を失った男」
・「二四〇号室の男」
・「イニシアル”M”の男」
・「歩道橋の男」
・「選ばれる男」

 原尞は1988年4月にハードボイルド長編『そして夜は甦る』(ハヤカワ文庫)で颯爽とデビューした作家だが、欠点は寡作であること。『私が殺した少女』(1989年10月)『さらば長き眠り』(1995年1月)『愚か者死すべし』(2004年11月)と段々間隔が空いている。

 沢崎ファンとしてはなかなか楽しみにありつけないもどかしさを感じてならない。こよなく愛したミステリー作家・藤原伊織は亡くなって、もう新作を期待できないのも辛い。

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