【田舎のたたみ方研究】田舎暮らしは忙しい

別荘と田舎は似て非なるものだ。都会から落下傘で降りるが如く、スポッとその土地に舞い降りて、その土地の慣習や因習などと切り離された世界で田舎暮らしを良いとこ取りして楽しむのが別荘暮らしだ。土地の風景や花鳥風月、野菜・果実などの食べ物も自由に享受できる。どうしてもその土地になじめなければ、そこから離脱する自由も行使できる気軽さもある。

それに比べて、田舎暮らしは丸で違う。その土地の慣習や習慣、しきたりなどに身をゆだねることが前提だ。その土地の中に入って、生活していくことがそもそもの決まりだ。その土地を理解し、その土地を生きる覚悟が求められる。そんなことを考え出すと、もう自由が逃げていく。息苦しくなっていく。

田舎に帰ると、まずやらなければならないことは草取りだ。季節にもよるが、冬以外はだいたい、久々に田舎に帰ると、たくましい雑草が家の敷地を覆っている。とにかく、生命力が旺盛だ。春から夏にかけては特にものすごい。成長が早く、引いたあとから生えてくるようにすら思えるほどだ。田舎暮らしは雑草との戦いだと言われるゆえんだ。

松の手入れは難しい

 

田舎の家では行った先で仕事がある。誰かがきちんと、その家に住んでいて、毎日で少しずつでも、手を掛けているのならともかく、普段留守にしていて、たまに帰ってきて、1週間程度住むとなると、それは大変である。屋敷内の至るところで、やるべきこと、やらなければならないことが多いのだ。とてもじゃないが、のんびりできない。

それが夏休み休暇を取って、半端じゃない時間とお金を掛けて田舎に戻ってきて、「労働」に従事しなければならないとなれば、それは「休み」には全くならない。身体を休めるのではなく、別の仕事をするだけのことだ。疲れるために田舎に戻ってくるようなものである。都会生活に疲れ果てた身に、田舎でも労働が待ち受けているかと思うと、腰が引けて当然だ。田舎暮らしには相当の覚悟が必要だ。

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